『グレイテスト・ショーマン』は、19世紀のアメリカで活躍した興行師、P.T.バーナムの成功を描いたミュージカル映画
サーカスのシーンは、迫力とエンターテイメント性に溢れ、観る人を惹きつけますが、アンはなぜフリークなのでしょうか?
ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロン、ゼンデイヤなど、実力派キャストがそれぞれのキャラクターを魅力的に演じていますが最後、バーナムの娘がバレエの舞台で木の役をしているのはなぜなんでしょうか?
グレイテストショーマン(映画)解説ネタバレ|最後のバレエ発表会なぜバーナムの娘が木?
■【完全ネタバレ解説】映画『グレイテストショーマン』感動のラストシーンに隠された深い意味とは?バーナムの娘の木の役、そしてP.T.バーナムは実在したのか徹底考察
2018年に公開され、今なお多くの人々の心を掴んで離さないミュージカル映画の傑作『グレイテストショーマン』について、熱い想いを込めて語らせてください。
劇場を出た後も、あの高揚感と感動がなかなか冷めなかったという方も多いのではないでしょうか。華やかな歌とダンス、そして夢を追いかける人々の姿は、私たちに勇気と希望を与えてくれますよね。
今回は、そんな『グレイテストショーマン』の中でも特に印象的な、最後の結末、多くの観客が疑問に思ったであろうバーナムの娘がバレエの舞台で木の役を演じている理由、そして物語の主人公であるP.T.バーナムは本当に実在した人物なのか、といった3つのポイントに焦点を当て、徹底的に深く掘り下げて解説していきたいと思います。
心揺さぶる感動のフィナーレ!『グレイテストショーマン』ラストシーンの真の意味を徹底解剖
まずは、あの感動的なラストシーンから紐解いていきましょう。事業に失敗し、一度は全てを失ったバーナムが、仲間たちの温かい励ましとフィリップの友情によって再び立ち上がり、新たな一歩を踏み出すラストは、何度見ても胸が熱くなりますよね。
従来の劇場ではなく、波止場に建てられた質素なテントでのサーカス。しかし、そこには以前にも増して強いエネルギーと、何よりもかけがえのない仲間たちの笑顔がありました。そして、ショーの中心で踊っていたバーナムは、フィリップにその座を譲り、舞台袖へと去っていきます。
その後、バーナムが向かった先は、娘たちのバレエの発表会でした。彼は、かつて成功と名声ばかりを追い求め、家族との時間をないがしろにしてしまったことを深く反省し、今度は父親として、娘たちの成長を温かく見守ることを選んだのです。
このシーンで特に印象的なのは、バーナムが巨大なゾウに乗って会場に現れる場面です。これは、彼の過去の栄光や、かつての華やかなサーカスを象徴しているようにも見えます。しかし、彼はその象に乗って舞台に上がるのではなく、客席の後ろからそっと見守るのです。
これは、彼が過去の成功に固執するのではなく、新たな人生の道を選んだことを示唆しているのではないでしょうか。華やかなショービジネスの世界から一歩退き、父親としての役割を大切にしようとする彼の決意が、この象に乗るという演出を通して、力強く表現されていると感じます。
また、娘たちのバレエの発表会という舞台も、彼の心境の変化を表しているように思います。かつての彼のショーは、世間から異端と見なされた人々が集まり、その個性を爆発させる、ある意味で異質な空間でした。しかし、バレエは伝統と規律を重んじる、洗練された芸術の世界です。
その舞台を静かに見守るバーナムの姿は、彼がかつての常識や価値観から解放され、より普遍的な家族の愛情や幸福に目を向けるようになったことを示しているのではないでしょうか。
そして、ラストカット。バーナムは妻のチャリティと手をつなぎ、満足そうな笑顔を浮かべています。かつて夢見た富や名声は手放したかもしれませんが、彼には何よりも大切な家族の愛と、共に困難を乗り越えてきた仲間たちの絆が残りました。
このラストシーンは、成功の定義は一つではないということ、そして本当に大切なものは、お金や名声ではなく、身近な人々との温かい繋がりであるという、映画が伝えたかった最も重要なメッセージを凝縮しているように感じます。
私自身、このラストシーンを見るたびに、心が洗われるような気持ちになります。人はどうしても、目先の成功や他人からの評価に囚われがちですが、本当に大切なものは、いつも自分のそばにあるのかもしれないと、改めて気づかされるのです。
なぜ娘は木の役?バレエの舞台に隠された『グレイテストショーマン』の深いメッセージ
さて、次に多くの観客が疑問に思ったであろう、バーナムの娘がバレエの舞台で木の役を演じているシーンについて考察していきましょう。
娘のキャロラインは、父親の成功によってバレエを習うことができるようになりました。しかし、発表会の舞台裏で、彼女は他の子供たちから「成り上がり」と心無い言葉を浴びせられてしまいます。そのことに深く傷つき、キャロラインはバレエを辞めたいと父親に打ち明けます。
その後、映画のラストシーンであるバレエの発表会で、キャロラインは舞台中央で堂々と踊っています。そして、その舞台の隅には、もう一人の娘が、可愛らしい木の衣装を身につけて立っているのです。
この木の役を演じているのが、バレエを始めたばかりの妹であると考えられます。姉のキャロラインが努力を重ねて主役を踊る一方で、妹はまだ経験が浅いため、木の役という脇役を演じている。一見すると、単なる姉妹の成長を描いた微笑ましいシーンに見えるかもしれません。
しかし、このシーンには、映画『グレイテストショーマン』が持つ多様性や受容といった重要なテーマが深く関わっていると私は考えます。
キャロラインがいじめられた経験は、バーナム自身がかつて貧しい身分であったために差別を受けた過去と重なります。彼は、自分と同じような苦しみを娘に味わわせたくなかったはずです。
それでも、キャロラインはバレエを諦めずに努力を続け、見事に舞台で輝いています。これは、逆境に負けずに自分の夢を追いかけることの大切さを教えてくれます。
そして、妹が演じる木の役。木は、舞台を彩る背景であり、主役を引き立てる存在です。もしかしたら、妹はまだバレエが上手ではないのかもしれません。それでも、彼女は姉と同じ舞台に立ち、精一杯自分の役割を果たしています。
この妹の姿は、たとえ目立たない存在であっても、それぞれの人が自分の場所で輝いていることの尊さを象徴しているのではないでしょうか。舞台の中央でなくても、脇役であっても、そこにいること、そして自分の役割を果たすことが大切なのです。
また、妹が木の役を演じていることを、特に悲しんでいる様子もなく、むしろ楽しんでいるように見えるという意見もあります。もしそうであるならば、このシーンは、他人と比べるのではなく、自分自身がその状況をどう受け止め、楽しむかという、より深いメッセージを私たちに投げかけているのかもしれません。
姉妹はそれぞれ違う才能を持ち、違うペースで成長していきます。大切なのは、他人と比べるのではなく、自分自身の成長を喜び、それぞれの場所で輝くこと。このバレエの舞台のシーンは、そんな多様な価値観を受け入れることの美しさを、静かに、しかし力強く語りかけているように私は感じるのです。
P.T.バーナムは夢を追いかけた実在の人物!映画と史実の違いも徹底解説
最後に、映画の主人公であるP.T.バーナムは本当に実在した人物なのか、という疑問にお答えしましょう。結論から言うと、P.T.バーナムは19世紀のアメリカで活躍した、実在の興行師です。
映画を観た後、「もしかしてこれは作り話なのでは?」と思った方もいるかもしれませんが、バーナムの波乱万丈な人生は、実際に起こった出来事を基に描かれています。
ただし、映画はあくまでエンターテイメント作品として、史実を脚色している部分も多く存在します。ここでは、映画と史実の主な違いをいくつかご紹介しましょう。
まず、映画ではバーナムは貧しい仕立て屋の息子として描かれていますが、実際には宿屋と商店を経営する比較的裕福な家庭に生まれています。また、子供の数も映画では娘が二人ですが、実際には四人の子供がいました。
映画の中で重要な役割を果たす、フィリップ・カーライルと空中ブランコ乗りのアンのロマンスは、完全なフィクションです。史実には、彼らに相当する人物は存在しません。
ジェニー・リンドとの関係も、映画ではスキャンダルとして描かれていますが、実際には恋愛関係はなく、契約解除に至った理由も映画とは異なります。
また、映画では一度の火災で博物館が焼失し、移動式サーカスへと転換しますが、実際にはバーナムの博物館は二度火災に見舞われています。
そして、映画のラストではバーナムはサーカスの経営をフィリップに譲り、家族との時間を大切にしますが、史実ではバーナムは生涯にわたり興行師として活躍し続けました。
このように、映画と史実には多くの違いがありますが、映画が描こうとした、逆境に負けずに夢を追いかけることの素晴らしさ、そして多様な人々が互いを尊重し、共に輝ける場所を作ることの大切さというメッセージは、バーナムという実在の人物の生き様を通して、力強く私たちに伝わってきます。
バーナムは、世間から好奇の目で見られていた人々を積極的にショーに出演させ、彼らに活躍の場と誇りを与えました。その功績は、単なる興行師という枠を超え、人々の価値観に大きな影響を与えたと言えるでしょう。
映画を観た私たちが心を揺さぶられるのは、バーナムのカリスマ性や、ショーの華やかさだけでなく、彼の根底にあった、全ての人々が平等に輝ける世界を創りたいという強い願いがあったからではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。『グレイテストショーマン』の最後の結末、バーナムの娘がバレエで木の役を演じている理由、そしてP.T.バーナムの実在について、深く掘り下げて解説してきました。
この映画は、単なるミュージカル作品として楽しむだけでなく、その背景にある社会的なメッセージや、登場人物たちの心の葛藤を知ることで、さらに感動が深まる作品だと私は思います。
夢を追いかける勇気、自分らしさを誇る大切さ、そして何よりも、かけがえのない人々との絆。映画『グレイテストショーマン』は、私たちに多くのことを教えてくれます。まだ観たことがないという方は、ぜひ一度、この感動を体験してみてください。そして、もう一度観たいと思った方は、今回の解説を参考に、新たな視点で映画を楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは、また次回の映画解説でお会いしましょう。映画評論家の[あなたの名前]でした。さようなら!