ソロモン72柱は、ソロモン王が封印したとされる72体の悪魔の総称であり、魔術書「ゴエティア」に詳細が記されています。
これらの悪魔はそれぞれ独自の能力と個性を持っており、王、公爵、侯爵、伯爵、騎士、総裁といった階級に分けられています。
悪魔たちは、召喚者に様々な知識や能力、恩恵を与える一方、裏切りや騙しといった危険な一面も持ち合わせています。
ソロモン72柱は、悪魔学やオカルティズムの世界において重要な存在であり、多くの文学作品やゲーム、アニメなどにも登場しています。
ソロモン72柱|悪魔の序列の意味・強さは?
ソロモン72柱は、近世オカルティズムにおいてソロモン王が使役・封印したとされる72体の悪魔の総称です。 これらの悪魔は、魔術書『ゴエティア』に記されており、それぞれが強大な力を持つ地獄の王侯とされています。
「序列」という言い方がされますが、これは必ずしも強さや地位を表すものではありません。 文献によって悪魔の構成や順番が異なっていることも多く、序列はあくまでも目安と考えた方が良いでしょう。
階級と役割
『ゴエティア』では、悪魔たちは王、君主、公爵、侯爵、伯爵、騎士、総裁といった階級に分けられています。 それぞれの階級に属する悪魔は、異なる能力や役割を持ちます。
- 王: 地獄の支配者であり、他の悪魔たちを統率する力を持つ。
- 公爵: 強力な悪魔であり、多くの軍団を率いる。
- 君主: 特定の領域を支配し、その分野に関する知識や能力を持つ。
- 侯爵: 戦争や知識、魔法など、様々な分野に精通している。
- 伯爵: 特定の能力や知識に特化している。
- 騎士: 戦闘に長けた悪魔。
- 総裁: 地獄の行政を司る役割を持つ。
72という数字の象徴性
72という数字は、12方位をさらに6等分した数であり、「全て」の方位を象徴しています。 これは、72柱の悪魔が、あらゆる種類の悪や力を象徴しているという解釈につながります。
ソロモン72柱の悪魔の序列一覧
以下のリストでは、各悪魔の序列、名前、能力・備考、階級を記載しています。ソースに記載されている情報に基づいて記述していますが、情報が不足している悪魔もいます。
序列 | 名前 | 能力・備考 | 階級 |
---|---|---|---|
1 | バエル | 元は豊穣の神。クモの胴体を持つ。人に知恵を授ける。 | 王 |
2 | アガレス | ワニに乗った老人。地震などを起こす。博識である。 | 公爵 |
3 | ウァサゴ | アガレスと同じ性質を持つという。過去現在未来について知る。 | 君主 |
4 | ガミジン | 青ざめた馬の姿。ネクロマンシーが得意。 | 侯爵 |
5 | マルバス | ライオンと人間の姿をとる。治癒能力を持つ。 | 総裁 |
6 | ウァレフォル | 人かロバの頭を持つライオン。盗みを行うように誘惑する。 | 公爵 |
7 | アモン | 口から火を吐く狼。 | 侯爵 |
8 | バルバトス | 狩人の姿。 | 公爵 |
9 | パイモン | 王の中で最もルシファーに忠実な元主天使。 | 王 |
10 | ブエル | 驚愕の姿。治癒能力を持つ回復者。 | 総裁 |
11 | グシオン | 語義不明の何かに似た悪魔。秘密の物事を発見する。 | 公爵 |
12 | シトリー | 豹の悪魔。召喚者の色欲を満たしてくれる。 | 君主 |
13 | ベレト | よく怒る大魔王。礼儀正しい。恋愛専門。 | 王 |
14 | レラジェ | 狩人。矢傷を腐敗させることが出来る。 | 侯爵 |
15 | エリゴス | 騎士の悪魔。人の愛情をつかさどる。 | 公爵 |
16 | ゼパル | 赤い戦士。人間の情欲をコントロールする。 | 公爵 |
17 | ボティス | 蛇と有角の人間の二つの姿を持つ。過去と未来を知る。 | 伯爵・総裁 |
18 | バティン | ルシファー第二の使い魔。瞬間移動の使い手。 | 公爵 |
19 | サレオス | ワニに乗った悪魔。 | 公爵 |
20 | プルソン | 楽器の音色と共に進む。ライオンの様な顔をしている。 | 王 |
21 | モラクス | 男の顔を持つ雄牛。天文学等の知識と使い魔を与える。 | 伯爵 |
22 | イポス | 鳥の悪魔。未来予知。 | 君主 |
23 | アイム | 蛇に乗り、松明で建物に火をつける。 | 公爵 |
24 | ナベリウス | 『悪魔の偽王国』ではケルベロスとも呼ばれる。 | 侯爵 |
25 | グラシャラボラス | 空飛ぶ犬。殺戮を引き起こす。 | 伯爵 |
26 | ブネ | 竜の悪魔。悪霊を操る能力をもつ。 | 公爵 |
27 | ロノウェ | 見た目不明のモンスター。言語の知識と友情を授ける。 | 侯爵 |
28 | ベリト | 嘘つきの騎士。錬金術にも長ける。 | 公爵 |
29 | アスタロト | 竜を使う悪魔。体が毒だらけ。 | 公爵 |
30 | フォルネウス | 海の怪物の姿をした悪魔。人間にカリスマ性を与える。 | 侯爵 |
31 | フォラス | 論理学と倫理学と薬草に詳しい。 | 総裁 |
32 | アスモデウス | 色欲の悪魔。 | 王 |
33 | ガープ | 悪魔。召喚時期は期間限定。 | 君主 |
34 | フルフル | 燃えるような尾を持つ鹿の悪魔。男女の愛を深める。 | 伯爵 |
35 | マルコシアス | 狼の悪魔。欺瞞を嫌う正直者。 | 侯爵 |
36 | ストラス | 鴉、ゴイサギ、あるいはフクロウの悪魔。自然に関する知識を持つ。 | 君主 |
37 | フェニックス | 不死鳥の悪魔。優れた詩の作り手。 | 侯爵 |
38 | ハルファス | コウノトリの悪魔。兵站と補給のプロ。 | 伯爵 |
39 | マルファス | カラスの悪魔。建築技術の継承者。 | 総裁 |
40 | ラウム | カラスの悪魔。宝物を転送させる。 | 伯爵 |
41 | フォカロル | 水域に住む公爵。水を操る。 | 公爵 |
42 | ウェパル | 人魚の悪魔。 | 公爵 |
43 | サブナック | ライオン頭の兵士の姿をした悪魔。 | 侯爵 |
44 | シャックス | ヒメモリバトあるいはコウノトリの悪魔。どんなものでも盗む。 | 侯爵 |
45 | ヴィネ | ライオンの獣人。千里眼を持つ。 | 王 |
46 | ビフロンス | 実態不明の悪魔。墓場をコントロールする。 | 伯爵 |
47 | ウヴァル | ラクダの悪魔。友愛を授ける。 | 公爵 |
48 | ハーゲンティ | 牛の悪魔。賢人を生み、錬金術を教える。 | 総裁 |
49 | クロケル | 天使の姿をした悪魔。鉱泉の達人。 | 公爵 |
50 | フルカス | 老騎士の悪魔。占星術に優れる。 | 騎士 |
51 | バラム | 3つ首の悪魔。策略に長けた悪魔。 | 王 |
52 | アロケル | 獅子の獣人。博識な知識を与える。 | 公爵 |
53 | カイム | ツグミの悪魔。口がうまい弁舌家。 | 総裁 |
54 | ムルムル | グリフォンに乗る悪魔。死者の交霊が得意。 | 公爵・伯爵 |
55 | オロバス | 馬の悪魔。過去・現在・未来の全てを見通す。 | 君主 |
56 | グレモリー | ラクダに騎乗する女性貴族の姿をした悪魔。職能は女性からの愛の獲得。 | 公爵 |
57 | オセ | 豹の悪魔。変身能力の使い手。 | 総裁 |
58 | アミー | 炎の悪魔。使い魔を与える。 | 総裁 |
59 | オリアス | ライオンの悪魔。星々の力に通暁し、それを読み解く能力を与える。 | 侯爵 |
60 | ヴァプラ | 空飛ぶライオンの悪魔。哲学、工芸を司る。 | 公爵 |
61 | ザガン | 雄牛の悪魔。金属をその材質の硬貨に変換する。力強い。 | 王・総裁 |
62 | ウァラク | 双頭の竜に乗る悪魔。天文学が得意。 | 総裁 |
63 | アンドラス | 鳥の頭の悪魔。不和の種を撒く。 | 侯爵 |
64 | フラウロス | 豹の悪魔。敵を炎で焼き尽くす。 | 公爵 |
65 | アンドレアルフス | 孔雀の悪魔。幾何学や天文学に通じる。 | 侯爵 |
66 | キマリス | 威風堂々とした悪魔。アフリカ大陸の悪霊たちを統べる。 | 侯爵 |
67 | アムドゥスキアス | ユニコーンの悪魔。金管楽器の音色と共に出現。 | 公爵 |
68 | ベリアル | 貴公子の悪魔。二枚舌を持つ。悪徳に優れる。 | 王 |
69 | デカラビア | 記号の姿をした悪魔。 | 侯爵 |
70 | セーレ | 美男子の悪魔。ものを運び、あるいは移動させる。 | 君主 |
71 | ダンタリオン | 幾多の顔を持つ悪魔。メンタリスト。 | 公爵 |
72 | アンドロマリウス | 盗品を奪還し盗人を捕らえる権能を持ち、罰も与える。 | 伯爵 |
注意点
- 悪魔の序列は強さの絶対的な指標ではなく、魔術書『ゴエティア』における登場順序に過ぎません。
- 悪魔の能力や外見、性格は、文献や解釈によって異なる場合があります。
ソロモン72柱のゴエティアとは?
「ゴエティア」とは、17世紀頃に成立したとされるグリモワール(魔術書)『レメゲトン』の第一書につけられたタイトルです。現代英語では「ガイーシャ」のように発音されます。
■ゴエティアの内容と構成
「ゴエティア」は、古代イスラエルのソロモン王が使役したとされる72体の悪魔を召喚し、様々な願いを叶えるための方法を記した書物です。
- 魔法円の描き方
- 悪魔の印章のデザインと作成方法
- 必要な呪文
- 72体の悪魔の性格、外見、能力
などが詳細に記されています。
■ソロモン72柱
「ゴエティア」に記載されている72体の悪魔は、それぞれ地獄における爵位(階級)と、配下の軍団を持っています。 これらの悪魔は総称して「ソロモンの霊」とも呼ばれます。
■悪魔の出自
「ゴエティア」によると、72体の悪魔はソロモン王によって真鍮の器に封印され、バビロンの湖に沈められました。 しかし、後にバビロニアの人々が器を開けてしまったため、悪魔たちは解放され、元の地位に返り咲いたとされています。
■悪魔の序列
「ゴエティア」では悪魔が順番に記載されていますが、これは必ずしも強さや序列を表すものではありません。 悪魔の地位、爵位、軍団の規模はそれぞれ異なっています。
■悪魔の呼称
日本では「ソロモン72柱」という呼称が一般的ですが、これは日本独自のものです。 英語では「Goetic demons」などと呼びます。 「ソロモン72柱」という呼称の起源は明確ではありませんが、2006年に日本語版Wikipediaに「ソロモン72柱」の記事が作成されたことが普及の一因と考えられています。
■ゴエティアの挿絵
「ゴエティア」の出版物には、コラン・ド・プランシーの著書『地獄の辞典』の挿絵が引用されているものがあります。 特に、ルイ・ル・ブルトンの描いた挿絵は、悪魔のイメージ形成に大きな影響を与えました。
■ゴエティアの版と派生作品
「ゴエティア」は17世紀以降、様々な版が出版され、多くの派生作品を生み出してきました。
- 1904年:アレイスター・クロウリーによる英訳版が出版されました。
- 1995年:ハイメニーアス・ベータ編集による、クロウリー版のイラスト入り新版が出版されました。
- 2001年:ジェゼフ・ピーターソン編集による、『レメゲトン』全5部と『悪魔の偽王国』を併載した『ソロモンの小さな鍵』が出版されました。
「ゴエティア」は、現代でも多くの創作作品に影響を与え続けています。 ゲーム、アニメ、漫画など、様々な作品で「ゴエティア」の悪魔が登場したり、その名前が使用されています。
■表題の意味
「ゴエティア」は、ギリシャ語のγοητε?α(ゴエーテイア)をラテン語化した言葉で、「呪術」「妖術」などを意味します。 古代ギリシャでは、霊を呼び出す呪術師の業を指す言葉でした。
ソロモン72柱と創作作品
ソロモン72柱は、その独特な設定と魅力的な名前から、ソロモン72柱は多くの創作作品でモチーフとして用いられてきました。小説、漫画、アニメ、ゲームなど、様々なジャンルの作品に登場し、物語に深みと彩りを与えています。
創作作品におけるソロモン72柱の表現
- キャラクター名: 悪魔の名前がそのまま、あるいはアレンジされてキャラクター名として使われることがあります。
- 例:『ハイスクールD×D』のグレモリー眷属やバアル王家
- 種族名: 作品独自の種族名として、ソロモン72柱に由来する名前が使われることがあります。
- 例:『Fate/Grand Order』の魔神柱
- 能力・技名: 悪魔の能力や特徴を反映した魔法や技が登場することがあります。
- 例:『されど罪人は竜と踊る』シリーズの咒式
- 世界観・設定: ソロモン王と72柱の悪魔の物語や、悪魔の階級などが作品の世界観や設定に組み込まれることがあります。
- 例:『メギド72』のソロモン王とメギドの関係性
ソロモン72柱をモチーフにした作品例
- ガンダムシリーズ: ソロモン72柱の名前を冠したモビルスーツが登場する作品があります。
- Fate/Grand Order: ソロモン72柱が「魔神柱」として登場します。
- メギド72: ソロモン72柱の名前を持つ「メギド」が登場します。
- 女神転生シリーズ: ソロモン72柱の悪魔が、悪魔(モンスター)として登場します。
- テイルズオブデスティニー2: バルバトス・ゲーティアを始めとするボスの名称のほとんどがソロモン72柱を元ネタとしています。
- うみねこのなく頃に: 72柱そのものとしてガープ、ロノウェ、ゼパル、フルフルなどが登場します。
- 東京放課後サモナーズ: シトリー、マルコシアス、オセ等がキャラクターとして登場する他、ソロモン王と72柱の悪魔の指輪が登場します。
- 原神: 魔神と呼ばれる種族の名前に、ソロモン72柱の名前がそのまま、あるいは捩る形で付けられています。
- 魔法使いと黒猫のウィズ: ソロモン王およびソロモン72柱が登場するイベントクエストが開催されました。
上記以外にも、多くの作品でソロモン72柱がモチーフとして使われています。
創作における悪魔の魅力
悪魔は、古来より人々の恐怖と畏敬の念を集めてきた存在です。 その神秘性と強大な力は、創作の世界においても魅力的な題材として扱われてきました。 ソロモン72柱は、それぞれの悪魔に個性的な能力や外見、性格が設定されているため、作者の想像力を刺激し、多様な物語を生み出す源泉となっています。
多様な解釈と可能性
創作作品において、ソロモン72柱は必ずしも「悪」の存在として描かれるとは限りません。 作品によっては、悪魔が人間と協力したり、友情を育んだりする姿も描かれています。 このように、ソロモン72柱は、作者の解釈によって様々な姿に変化し、物語に深みを与えています。
ソロモン72柱は、単なる悪魔のリストではなく、人間の想像力を刺激する豊かな素材と言えるでしょう。 悪魔の力を借りて、創作の世界は無限に広がっていくのです。
まとめ:ソロモン72柱|悪魔の序列の意味・強さは?
「ソロモン72柱」の悪魔の序列は、強さを直接的に示すものではありません。 これは、魔術書『ゴエティア』における悪魔の記載順序に過ぎず、強さや権力、支配する軍団の数とは必ずしも一致しません。
■序列の由来と解釈
- 魔術書『ゴエティア』の記載順: 序列は、『ゴエティア』という魔術書に記された72柱の悪魔の登場順序に基づいています。
- 強さや地位との関連性: 記載順序は、必ずしも強さや地位と相関関係があるわけではありません。 例えば、序列1位のバエルは王ですが、序列9位のパイモンも王であり、序列32位のアスモデウスも王です。 また、序列68位のベリアルは、ルシファーに次いで創造された堕天使であり、72の悪魔たちを率いるとされていますが、記載順序は68位です。
- 象徴的な意味: 72という数字は、12方位を6等分した数であり、「全て」の方位を象徴しています。 このことから、72柱の悪魔は、あらゆる種類の悪や力を象徴しているという解釈も存在します。
■強さを示す要素
悪魔の強さを判断する要素としては、以下の点が挙げられます。
- 階級: 王、公爵、君主、侯爵、伯爵、騎士、総裁といった階級は、悪魔の地位や権力を示唆しています。
- 支配する軍団の数: 多くの軍団を従えている悪魔は、それだけ強力であると考えられます。
- 能力: 悪魔はそれぞれ固有の能力を持っており、その能力の強弱も強さの指標となります。
- ソロモン王との関係: ソロモン王に反逆したアスモデウスや、ソロモン王の都市建設に協力したとされるマルファスなど、ソロモン王との関係性も強さを示唆する要素となります。
ソロモン72柱は、その独特な設定と魅力的な名前から、多くの創作作品でモチーフとして用いられています。
- キャラクター名: 悪魔の名前がそのまま、あるいはアレンジされてキャラクター名として使われることがあります。
- 魔法名やアイテム名: 悪魔の能力や特徴を反映した魔法やアイテムが登場することがあります。
例:
- ガンダムシリーズ: ソロモン72柱の名前を冠したモビルスーツが登場する作品があります。
- Fate/Grand Order: ソロモン72柱が「魔神柱」として登場します。
- メギド72: ソロモン72柱の名前を持つ「メギド」が登場します。
このように、ソロモン72柱は、オカルティズムの世界だけでなく、現代の創作文化にも大きな影響を与えている存在と言えるでしょう。