桜井ユキが主演するNHKドラマ「しあわせは食べて寝て待て」は、膠原病を患い生活が一変した女性が、団地での新たな人間関係と薬膳を通して生きる力を取り戻す物語。
主人公がハラスメントによる退職や経済的な困難を経験する中で、周囲の温かさに触れ、自分らしい幸せを見つけていく様子が描かれています。
しあわせは食べて寝て待て（ドラマ）｜あらすじネタバレ
「しあわせは食べて寝て待て」の物語
まず、このドラマの核となる物語から紐解いていきましょう。主人公の麦巻さとこさんは、38歳独身の女性。かつてはマンション購入を夢見て、バリバリと仕事をこなすキャリアウーマンだったんですが、膠原病という、なかなか厄介な病気を患ってしまいます。この病気によって、彼女の生活は一変。正社員の仕事を辞めざるを得なくなり、収入も減ってしまいます。夢見ていたマンション購入はもちろん諦め、家賃5万円という、築45年の古い団地に引っ越すことになるんです。
人生のどん底、とまでは言わないまでも、先の見えない不安で押しつぶされそうな毎日を送るさとこさん。そんな彼女が、新たな住まいで出会ったのが、団地の大家さんである美山鈴さんと、その家に居候しているという不思議な雰囲気の青年、羽白司くんでした。この二人の存在が、さとこさんの人生に、じんわりとした光を灯していくんですね。
特に、司くんは趣味で薬膳をやっているという変わり者。ひょんなことから、彼が作った大根のスープを口にしたさとこさんは、その優しく滋味深い味わいに、心がふっと安らぐのを感じます。この出会いをきっかけに、さとこさんは薬膳に興味を持ち始めるのですが、最初はなかなか司くんに教えてもらえないんですよね。彼の、どこか人との距離を置くような態度が、また物語に深みを与えていると思います。
物語は、病気と付き合いながら、新たな生活を送るさとこさんが、薬膳を通して、そして団地の人々との温かい触れ合いを通して、少しずつ生きる活力を取り戻していく様子を丁寧に描いていきます。健康のこと、仕事のこと、将来のこと。色々な悩みを抱えながらも、目の前の小さな幸せに気づき、自分らしい生き方を見つけていくさとこさんの姿は、見ている私たちの心にも、そっと寄り添ってくれるような温かさがあるんです。決して派手な展開があるわけではないんですが、日々の何気ない出来事の中に、大切なメッセージが込められている。そんな、滋味深いドラマだと僕は感じています。
しあわせは食べて寝て待て（ドラマ）｜薬膳の本は実在？
主人公が読む薬膳の本「薬膳食材ノート」の謎と監修者
さて、ドラマの中でさとこさんが熱心に読んでいる「薬膳食材ノート」という本、あれが実在するのかどうか、気になっている方も多いのではないでしょうか。調べてみたところ、どうやら市販はされていない可能性が高いようです。SNS上でも、「どんなに探しても見つからない」といった声や、「表紙が似ている本ならあったので、もしかしたら見た目だけ参考にしたのでは？」という意見も出ていました。
おそらく、この「薬膳食材ノート」は、ドラマの美術スタッフさんがオリジナルで制作したプロップなのでしょうね。ただ、ドラマには薬膳指導として参加されている先生がいらっしゃるようなので、劇中に登場する本の中身（少なくとも映像に映るページだけでも）は、その先生の監修のもとで作られたのかもしれません。
NHKという公共放送の性質上、特定の商品の宣伝をすることはほとんどありませんから、架空の書籍として登場させたのは、そういった配慮もあったのかもしれませんね。でも、あの本に書かれている内容が、さとこさんの日々の生活の中で、薬膳を取り入れるきっかけになっているのは間違いありません。もし、あんな素敵なノートがあったら、僕もぜひ手に入れて、日々の食生活に取り入れてみたいなぁ、なんて思います。
そして、このドラマの薬膳考証を担当されているのは、薬日本堂漢方スクールの講師である鈴木養平先生という方です。東北医科薬科大学をご卒業後、薬日本堂に入社され、漢方専門相談員としてのご経験もお持ちのようです。現在は、漢方スクールの講師としてセミナーや講演活動をされる傍ら、雑誌や本の監修、さらには「からだ巡茶」といった商品開発にも携わっておられます。日本漢方養生学協会の理事長も務めていらっしゃる、まさに薬膳・漢方のスペシャリストと言えるでしょう。鈴木先生のような expert の監修が入っているからこそ、ドラマに登場する薬膳の描写にも、説得力とリアリティがあるんですね。
しあわせは食べて寝て待て（ドラマ）｜主人公の病気は？
主人公を苦しめる病「膠原病」
物語の中心にある、さとこさんを苦しめる病気、それが膠原病です。これは、一種類の病気を指すのではなく、自分の体を守るはずの免疫システムに異常が起きて、自分自身の体を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の総称です。症状は人によって本当に様々で、関節の腫れや痛み、発熱、倦怠感など、多岐にわたります。さとこさんの場合は、関節の痛みやこわばりといった症状が出て、疲れやすかったり、風邪を引きやすかったりするようです。
この病気の辛いところは、根本的に治すというよりも、一生付き合っていかなければならないという点です。さとこさんも、病気と診断されてから、自分の体調と向き合いながら、生活していくことを余儀なくされます。今までのように無理がきかなくなり、仕事や日常生活においても、様々な制限が出てくる。健康だった頃には当たり前だったことが、そうではなくなってしまう。その喪失感や不安は、想像するに余りあります。
ドラマでは、さとこさんが病気のせいで、以前のように働くことができなくなり、周りの無理解に苦しむ様子も描かれています。後輩から心無い言葉を浴びせられたり、会社に居場所がなくなってしまったり。病気になった本人が一番辛いのに、さらに追い打ちをかけるような出来事が起こる。このあたりの描写は、本当に胸が締め付けられます。でも、そんな状況の中でも、さとこさんが諦めずに、自分にできることを見つけて、前向きに生きようとする姿に、私たちは勇気づけられるんですよね。
しあわせは食べて寝て待て（ドラマ）｜薬膳レシピ
心と体を癒やす「薬膳」のレシピ
このドラマの大きな魅力の一つが、美味しそうな薬膳料理の数々です。見ていると、ついつい自分でも作ってみたくなってしまうものばかりですよね。ソースの中にも、いくつかのレシピが紹介されていました。
例えば、第1話に登場した「肉団子と野菜のスープ」。キャベツやしめじといった身近な野菜に、喉や肺を潤すと言われるレンコンをすりおろして加えるのがポイントだそうです。鶏ひき肉で作った肉団子も、優しい味わいで、疲れた体に染み渡りそう。仕上げにレンコンのすりおろしを加えることで、とろみがつき、体も温まりますし、顆粒だしなどに頼らなくても、野菜や肉本来の旨味を堪能できるのが良いですよね。
第2話に出てきたのは、鮮やかな緑色が食欲をそそる「そら豆ごはん」。そら豆をあらかじめ茹でて、その茹で汁でご飯を炊くことで、そら豆の色と風味を最大限に活かしているそうです。一般的な作り方では、そら豆をそのまま炊き込むことが多いと思いますが、このドラマでは、見た目の美しさにもこだわっているんですね。
そして、第3話でさとこさんがしみじみと味わっていたのが「おかゆ」です。お米と水だけで作るシンプルな料理ですが、消化にも優しく、体を温める効果もあると言われています。ドラマの中では、「粥有十利（しゅうゆうじり）」という言葉も紹介されていましたね。お粥には10個の利点があるという意味で、昔から体に良いとされてきたことがわかります。
これらの料理のフードスタイリングを手掛けているのは、飯島奈美さんという、数々の映画やドラマで食のシーンを彩ってきた有名なフードスタイリストです。「かもめ食堂」や「深夜食堂」など、彼女が手掛けた作品に登場する料理は、どれも本当に美味しそうで、温かい雰囲気に満ちていますよね。「しあわせは食べて寝て寝て」でも、奇をてらったものではなく、日常の食材を使った、シンプルだけれど心惹かれる料理が数多く登場し、ドラマの魅力を一層引き立てています。ドラマのホームページでは、さらに多くの薬膳レシピが公開されているようなので、ぜひチェックして、日々の食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
しあわせは食べて寝て待て（ドラマ）｜感想は面白い？つまらない？
視聴者の心を捉える感想の声
このドラマは、放送開始直後から、多くの視聴者の心を掴んでいるようです。SNSやニュースサイトのコメント欄を見ていると、「心が温まる」「癒やされる」といった感想が ?? ???. 主人公のさとこさんの境遇に共感する声や、彼女が前向きに生きようとする姿に勇気づけられるという意見も目立ちます。
特に、第3話でさとこさんが、かつてパワハラで自分を追い詰めた後輩からの謝罪を毅然と拒否するシーンは、多くの視聴者の共感を呼び、「スカッとした」「よく言った！」といった称賛の声が相次ぎました。過去の辛い経験を簡単に水に流すのではなく、自分の気持ちに正直に生きるさとこさんの強さに、多くの人が心を打たれたのではないでしょうか。
また、団地に住む人々との温かい交流や、薬膳を通して少しずつ元気を取り戻していくさとこさんの姿を見て、「普通の生活の中にこそ幸せがあるんだなと気づかされた」「自分ももっと自分を大切にしようと思った」といった、前向きな気持ちになったという感想も多く見られました。物価高や米不足といった、現代社会のリアルな問題もさりげなく描かれている点も、視聴者の共感を呼んでいるのかもしれません。
加賀まりこさん演じる鈴さんのチャーミングな大家さんぶりや、宮沢氷魚さん演じる司くんの優しくも少し謎めいた雰囲気も、ドラマの大きな魅力になっているようです。二人の独特な関係性も、物語に深みを与えていますよね。
全体として、このドラマは、派手な事件や劇的な展開があるわけではないけれど、じんわりと心に染み渡るような、温かいメッセージが込められた作品として、多くの視聴者に受け入れられていると感じます。忙しい毎日を送る中で、ふと立ち止まって、自分の心と体に向き合うことの大切さを教えてくれる。そんな、今の時代にこそ必要なドラマなのかもしれません。
しあわせは食べて寝て待て（ドラマ）｜キャスト
個性豊かなキャストと登場人物たち
最後に、このドラマを彩る魅力的なキャストと登場人物たちをご紹介しましょう。
主人公の麦巻さとこさんを演じるのは、桜井ユキさん。繊細でいて芯の強い女性を演じるのが本当に上手な女優さんですよね。膠原病に苦しみながらも、懸命に生きるさとこさんの姿を、等身大の魅力で表現されています。
さとこさんの隣に住む、薬膳好きの青年・羽白司くんを演じるのは、宮沢氷魚さん。クールな佇まいの中に見せる優しさや、どこか掴みどころのない雰囲気が、司くんというキャラクターにぴったりです。彼の作る薬膳料理が、ドラマに彩りを与えています。
団地の大家さん、美山鈴さんを演じるのは、日本を代表する名女優、加賀まりこさん。90歳という設定ながら、少女のような可愛らしさと、さとこさんを優しく包み込むおおらかさで、ドラマに温かい空気をもたらしています。彼女の存在が、このドラマの大きな癒やしになっていると感じる人も多いのではないでしょうか。
さとこさんのパート先のデザイン会社の社長、唐圭一郎を演じるのは、福士誠治さん。飄々とした雰囲気ながらも、社員たちのことをよく見ていて、さりげない優しさを見せる理想の上司、といった役どころです。彼の言葉が、さとこさんの背中をそっと押してくれるような、そんな温かさがあります。
その他にも、さとこさんの元同僚・小川役の前田亜季さんや、団地に引っ越してくるイラストレーター・高麗役の土居志央梨さん、さとこさんの母親役の朝加真由美さんなど、個性豊かな俳優陣が、それぞれのキャラクターを魅力的に演じています。
団地という舞台設定も、このドラマの大きな特徴の一つです。そこに住む様々な人々との出会いや関わり合いを通して、さとこさんは孤独から解放され、新たなコミュニティの中で生きていく力を得ていきます。登場人物それぞれの人生が丁寧に描かれているからこそ、私たちはこのドラマの世界に深く引き込まれるのだと思います。
まとめ：しあわせは食べて寝て待て（ドラマ）ネタバレwiki｜薬膳の本・病気は？原作は？
「しあわせは食べて寝て待て」。このタイトルには、本当に深い意味が込められていると感じます。「食べて、寝て、そして待つ」。焦らず、無理せず、日々の小さな幸せを大切にしながら、生きていく。そんな、シンプルだけれど大切なことを、このドラマは私たちに教えてくれているのではないでしょうか。
毎週火曜の夜10時、NHK総合で放送中です。見逃した方は、NHKプラスでも視聴できますので、ぜひ、この心温まる物語に触れてみてください。きっと、あなたの心にも、優しい光が灯るはずです。僕も、これからのさとこさんの物語を、楽しみに見守りたいと思っています。
