『機動戦士Zガンダム』シリーズに登場するキャラクター、パプテマス・シロッコについて
新しい作品である『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』において、シロッコが登場しない理由(シロッコ出禁)は?
シロッコの能力、思想、そして『Zガンダム』本編や他の関連作品での活躍は?
ガンダム ジークアクスネタバレ考|シロッコ出禁とは?登場しない理由は?
皆さん、こんにちは!
ガンダム沼にどっぷり浸かっている皆さんなら、一度はその名を聞いたことがあるでしょう。
宇宙世紀の歴史に強烈な爪痕を残した、あの男。
パプテマス・シロッコについて語らせてください。
彼の存在は、良くも悪くも作品世界をかき回し、多くのキャラクターの運命を狂わせました。
今回は、ネットでまことしやかに囁かれる「シロッコ出禁説」の真相から、彼の底知れない能力、そして各作品での活躍まで、じっくり掘り下げていこうと思います。
検索してたどり着いてくれたあなたにとって、少しでも彼の魅力(とヤバさ)が伝われば嬉しいです。
シロッコが『GQuuuuuuX』で「出禁」ってどういうこと?
最近公開された『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』、ご覧になりましたか?
一年戦争でジオンが勝利したという、IFの世界を描いた作品です。
この作品をめぐって、ネットでは「シロッコ出禁」なんて言葉が飛び交っていますよね。
これはどういうことかというと、単純に『GQuuuuuuX』本編にパプテマス・シロッコが登場しないからなんです。
映画のパンフレットには、監督の鶴巻和哉さんのインタビューが載っていて、そこでこの理由が明かされています。
当初、『GQuuuuuuX』の時代設定は、主人公のマチュたちが「戦後生まれ」になるように、0085年以降を想定していたそうなんですね。
でも、過去作のキャラクターであるシロッコの登場を検討した時に、彼の存在が作品全体のバランスを崩してしまう可能性がある、と考えられた結果、本編の年代を0085年に落ち着かせたんだとか。
なぜシロッコがいるとバランスが崩れるのか?
それはもう、彼の能力やカリスマ性が尋常じゃないレベルだからですよ。
彼は、登場した瞬間にどんな状況でも引っかき回して、収集がつかなくなるタイプのキャラクターなんです。
特に『GQuuuuuuX』の主人公であるマチュは、特別なものに憧れる思春期の女の子なので、シロッコみたいな存在に出会ってしまったら、あっという間に言いくるめられて手駒にされてしまうんじゃないか、という作劇上の懸念もあったようです。
他にも、この作品にはシロッコと相性の悪い女性キャラクターがΖガンダム以上に盛りだくさんらしいので、彼を出すと物語が終わってしまう可能性すらあったみたいですね。
シロッコは本来、0087年に木星から地球圏に帰還する設定なので、0085年の物語であれば、まだ木星にいるはずなんですよ。
だから、「シロッコがまだ地球圏に帰ってきていない時代」に設定することで、彼を物語から遠ざける必要があったんですね。
パンフレットには「この世界にはシロッコはいません、とはしたくなかった」とも書かれていたので、完全に存在を否定したわけではないようですが、とにかく本編に彼を出すわけにはいかなかった、と。
名指しで「邪魔だから出さない」って言われるキャラもそうそういませんよ、本当に恐ろしい男です。
天才? それとも傲慢? シロッコの能力と危険な思想
シロッコという男は、まさに宇宙世紀が生んだ「異質」な天才です。
まず、彼の能力。
パイロットとしての技量は超一流です。
初めてアニメに登場した時、メッサーラという自ら開発したモビルスーツに乗って、被弾することなくエゥーゴの輸送船を襲撃しています。
ノーマルスーツを着ないことからも、自身の技量に対する絶対的な自信が伺えますね。
ニュータイプとしても非常に強力で、初登場時からシャア・アズナブル(クワトロ・バジーナ)でさえ呼吸が乱れるほどの強いプレッシャーを放っていました。
ハマーン・カーンと互角に渡り合うサイコ・ヒットを繰り出したり、死んだサラ・ザビアロフの思惟(魂のようなもの)を見たりと、超常的な描写が多々あります。
そして、彼の恐ろしいところは、新しい力であるニュータイプ能力を持ちながら、それを人を支配するためという古い目的のために使っていた点です。
ムック本によれば、精神による完全な相互理解ができるレベルのニュータイプ能力を意図的に遮蔽し、嘘を用いて人を操っていたとされています。
技術者としても天才的です。
木星からの帰還中に、連邦軍のガンダリウムγと同水準の合金や、ガンダムMk-Ⅱとは別の独自のムーバブルフレームを開発しています。
さらには、メッサーラからジ・Oに至るまで、自身の思想や戦術に合わせた高性能なモビルスーツを次々と設計・開発しています。
漫画『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』では、サイコミュの発展型であるグリモアや、人格・記憶の保存、さらには不死の研究まで行っていたことが描かれていて、もう何でもありか!ってくらい多才なんですよね。
カリスマ性も持ち合わせていて、ティターンズの内部で急速に権力を掌握していきます。
自らを「歴史の立会人」と称し、常に傍観者を装っていますが、その裏には強い野心と計略を秘めています。
その思想も独特で、「私の使命は――重力に魂を引かれた人々を開放することだと思っている」と語っています。
これは一見エゥーゴの理念と似ていますが、彼はエゥーゴも地球圏に縛られていると見下しています。
さらに驚くべきは、「女性こそが地球圏の統治者となるべきだ」という構想を持っていたことです。
戦乱の後に来るであろう新しい秩序は、女性が担うべきだと。
ただし、この思想も純粋なものではなく、実際には女性を道具として扱い、自分は安全圏から世界を操作できるという傲慢な考えだったのではないか、という見方もあります。
小説版には、彼に生き別れた妹がいたという設定があり、それが女性至上主義のようなものに行き着いた可能性も示唆されています。
カミーユがシロッコに向かって叫んだ「お前だ!いつもいつも、脇から見ているだけで、人を弄んで!」という言葉は、彼の本質を的確に言い表していると思います。
ヤザン・ゲーブルのような凶悪な軍人ともウマが合うなど、人間関係の構築も独特ですよね。
でも、結局のところ、彼の行動の真意は作中の誰にも、そして見ている私たちにも完全に理解できません。
何がしたかったのか、何を考えていたのか、曖昧なままなんです。
ただ言えるのは、彼は自分のことを天才だと信じて疑わず、そして実際に恐ろしいほどの才能と実力を持っていたということです。
『Zガンダム』からスピンオフまで シロッコの爪痕
シロッコが最も印象的に活躍したのは、やはり『機動戦士Zガンダム』本編です。
彼は木星の資源採掘船「ジュピトリス」の責任者として、木星圏から地球圏に帰還します。
階級はTV版では大尉でしたが、後に作られた劇場版では大佐に変更されています。
地球連邦軍、そしてティターンズに参加し、その異様な存在感と能力で、瞬く間にティターンズ内部で台頭していきます。
自ら開発したモビルスーツ、メッサーラやジ・Oなどを持ち込み、エースパイロットとして華々しい戦果を挙げました。
ティターンズの指導者であるジャミトフ・ハイマンに近づき、最終的には彼を謀殺してティターンズの実権を掌握するという恐ろしいまでの謀略もやってのけています。
シャア・アズナブルに対しては一貫して強い敵意を抱いており、「貴様のようなニュータイプのなり損ないは――粛正される運命なのだ!」とまで罵倒しています。
そして、物語のラスボスとして、主人公カミーユ・ビダンのΖガンダムと激しい一騎打ちを繰り広げます。
最初はカミーユを圧倒しますが、カミーユの怒りや、戦場で散っていった人々の思念を取り込んだΖガンダムの力によって形勢が逆転。
Ζガンダムの特攻を受け、乗機ジ・Oと共に最期を迎えます。
TV版の描写では、死の間際に自身の断末魔の思念をカミーユに向けて放ち、それが原因でカミーユは精神崩壊してしまいました。
これは公式設定でもそうなっているのですが、サンライズ準公式設定や原作者の富野由悠季監督の説明では、Zガンダムに搭載されたバイオ・センサーやカミーユ自身の精神的な要因によるものなど、様々な解釈が示されています。
劇場版では、カミーユを精神的に道連れにすることは叶わず、一人死亡したことになっていますね。
この最終決戦でのジ・Oの制御不能現象については、漫画『機動戦士ガンダム ヴァルプルギスEVE』で、サイコウェーブの共振によるシステム障害が原因だった可能性が技術的な視点から補足されており、非常に興味深いです。
『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』シリーズでは、先ほど触れた不死の研究や、小惑星型のサイコミュ要塞の開発など、彼の技術者としての側面や、より深掘りされた思想が描かれています。
また、近藤和久さんの短編漫画では、0083年頃にジュピトリスでガンダムタイプに乗って戦闘していた描写もあり、彼のパイロットとしての片鱗を垣間見ることができます。
コミカルに描かれることが多い『SDガンダム』シリーズでも、貧乏キャラだったり、卑怯な謀略家として武者頑駄無たちを苦しめたりと、様々な姿を見せています。
一度倒されても悪霊として蘇ったり、モンスターの仮の姿だったりと、彼の異質さが強調されていますね。
シロッコは、まさに『Zガンダム』という物語を異常な熱量で動かし、主人公であるカミーユの運命すら決定的に狂わせた存在です。
彼の登場で勢力図は混乱し、人間関係は破綻していく様は、見ているこちらまで引き込まれます。
まとめ:ガンダム ジークアクスネタバレ考|シロッコ出禁とは?登場しない理由は?
パプテマス・シロッコ。
「木星帰りの男」「歴史の立会人」「女性による統治」。
彼の言葉や行動の全てを理解することは難しいかもしれません。
ですが、その底知れない能力、歪んだ思想、そして圧倒的な存在感は、ガンダムシリーズの中でも唯一無二のキャラクターとして、今なお多くのファンを惹きつけて止まないのだと思います。
『GQuuuuuuX』に出番がなかったのは少し残念な気もしますが、彼がそこにいたら物語が成立しなかった、というのもまた彼というキャラクターの凄さを物語っているのではないでしょうか。
もし今回の記事でシロッコに興味を持っていただけたら、ぜひ『機動戦士Zガンダム』本編や関連作品に触れてみてください。
きっと、彼の異質さと魅力に圧倒されるはずですよ!