NHK連続テレビ小説「あんぱん」の第33話(5月14日放送)エピソードでは、博多弁の「青竹割ってへこにかく」というフレーズが登場しました。
これが1983年に発売された日清食品のインスタントラーメンのCMソングとして有名になったことが話題となりました。
ドラマでは主人公のぶと嵩が、戦争に対する価値観の違いからすれ違う切ない展開が描かれ、視聴者から多くの共感や悲痛な声が寄せられました。
「青竹割ってへこにかく」とは意味は?朝ドラあんぱん33話(5月14日)
朝ドラ「あんぱん」を視聴している皆さん、こんにちは!
毎日放送を楽しみにしている、朝ドラ大好きブロガーです。
先日、5月14日に放送された「あんぱん」第33回、ご覧になりましたか?
いやー、もう、色々な意味で衝撃的な回でしたよね。
特に、SNS上で一気に話題になった、ある「博多弁」のフレーズに、私も「おっ!」となりました。
それが、「へこにかく」という言葉でした。
このフレーズ、一体どんなシーンで使われたのか、そしてどんな意味が込められているのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
それに、あの後の展開についても、もう色々な思いが駆け巡りますよね。
今日のブログでは、そんな話題の「へこにかく」という言葉を中心に、第33回の放送を、私の個人的な感想もたっぷり込めながら、皆さんと一緒に深掘りしていきたいと思います!
一体、あの言葉に隠された意味とは?
そして、視聴者の皆さんは、あの回をどう受け止めたのでしょうか。
それでは、早速見ていきましょう!
あの衝撃シーンを振り返り!「へこにかく」はこうして飛び出した
さて、5月14日放送の第33回。物語の舞台は、のぶちゃんたちが暮らす高知に移っていましたね。
東京高等芸術学校に通う嵩くん(北村匠海さん)が、学友の健太郎くん(高橋文哉さん)を連れて、実家に帰省していました。
そして、弟の千尋くん(中沢元紀さん)も加わって、伯父の寛さん(竹野内豊さん)と一緒にウイスキーを飲みながら語り合う、そんな温かいような、でもどこかちょっぴり気恥ずかしいような、男同士の素敵な時間が描かれていました。
このシーン、覚えていますか?
寛おじさんが、まだ若い千尋くんに、これから強く生きていくことへのエールとして、「いごっそうになれ」と声をかけました。
「いごっそう」。
高知の方言ですよね。
その言葉を聞いた福岡出身の健太郎くんが、「いごっそうってなんですか?」と尋ねます。
すると、寛さんの妻である千代子さん(戸田菜穂さん)が、その意味を説明してくれました。
「頑固で大胆不敵なこと」だと。
なるほど!
「いごっそう」というのは、「頑固で大胆不敵」。
強い心意気を持った男性を指す言葉なんですね。
その千代子さんの解説を聞いた健太郎くんが、ここで自身の知っている方言に〝翻訳〟して解釈を試みました。
それが、今回のブログの主役とも言えるフレーズです。
「『青竹割ってへこにかく』ってことですね」と、さらりと言ってのけたのです。
健太郎くんの口から出たこの言葉に、一瞬、場の空気が変わったような気がしませんでしたか?
高知の「いごっそう」という言葉に対して、福岡の健太郎くんが博多弁で応じた。
しかも、「青竹割ってへこにかく」なんて、何やらものすごい響きのフレーズです。
青竹を割って…、へこに…、かく?
一体どういうことなんだろう?
私もリアルタイムで見ていて、思わず画面に釘付けになりました。
健太郎くんは、この博多弁を「頑固で大胆不敵なこと」という意味で使ったわけですよね。
福岡の人にとって、このフレーズはまさにそういう心意気を表す言葉なんだな、とこの時の会話で理解できました。
健太郎くんのこの言葉を聞いて、寛おじさんは再び千尋くんに向かって言いました。
「おまえもへこにかけ!」と。
まるで、高知の「いごっそう」と、福岡の「へこにかく」が、千尋くんという若い世代に託されるべき「男の心意気」として、この場でつながったかのようでした。
この一連の会話は、SNS上でも大きな話題となりました。
特に、「青竹割ってへこにかく」という強烈なワード。
私も含め、多くの視聴者が「ん?今なんて言った?」となったのではないでしょうか。
そして、このフレーズが飛び出したシーンの直後から、SNSはざわざわと賑わい始めたんです。
健太郎くんが当たり前のように使った博多弁、そしてそれを聞いた時の寛おじさんの力強い眼差し。
高知と福岡、それぞれの土地に根付いた言葉が交差する、とても印象的な場面でした。
特に、若い千尋くんに向けられたエールとしてこの言葉が使われたことで、その「へこにかく」というフレーズに込められた力強いメッセージが、より伝わってきたように感じます。
単なる方言の紹介ではなく、登場人物たちの関係性や、彼らが次の世代に伝えたいと願う「心意気」のようなものが、この短いやり取りの中にぎゅっと詰まっていたんですよね。
そして、この言葉が、後から明らかになる意外なものと深く結びついていることを、この時の私はまだ知りませんでした。
このシーン、本当に「あんぱん」らしい、温かさと、ちょっぴりのユーモア、そして登場人物たちの息遣いが感じられる、素敵な一幕だったと思います。
健太郎くん、いきなりの博多弁披露、お見事でした!
そして、その言葉を瞬時に理解し、さらに千尋くんに向けたエールとして言い換えた寛おじさんも、さすがです。
あの場の空気が、すごく好きでしたね。
男同士の会話って、こういう飾らない言葉の中に、大切なメッセージが込められていたりするんですよね。
千尋くんには、ぜひ寛おじさんの言う「へこにかく」男になってほしいな、と思いました。
それにしても、「青竹割ってへこにかく」って、具体的にはどんな行動なんだろう?と、想像するだけでなんだかワクワクしてしまいます。
言葉の響きだけで、もうその人の「意気」が伝わってくるような、力強いフレーズですよね。
まさに、朝ドラで初めてこの言葉を聞いた人にとっては、忘れられないインパクトだったのではないでしょうか。
私も、あのシーンは何度も見返したくなりましたね。
登場人物たちの表情や声のトーンからも、その言葉に込められた思いがひしひしと伝わってきて、見ているこちらも思わず背筋が伸びるような、そんな感覚になりました。
「へこにかく」に隠された深い意味とは?ラーメンCMとの意外な関係
さて、朝ドラ「あんぱん」で健太郎くんが口にした「青竹割ってへこにかく」というフレーズ。
皆さんもその意味が気になって、このブログにたどり着いてくださったのではないでしょうか?
健太郎くんの言葉のニュアンスや、千代子さんの解説、そして寛おじさんのエールから、「頑固で大胆不敵」「心意気」といった意味合いだろう、ということはなんとなく伝わってきましたよね。
口コミによると、この「博多んもんは横道もん、青竹割ってへこにかく」という言葉は、博多のことわざなんだそうです。
その意味するところは、「博多の人は強情で一度言ったら後にひかない」。
そして、「青竹を割って、それでふんどしをしめてみせるぐらいの心意気を持っている」ということなんだとか。
ふむふむ。
「へこ」というのは、ふんどしのことなんですね。
青竹を割って、それをふんどしとして締める。
うーん、想像するだけで痛そうだし、なんだかすごい行動ですよね。
でも、そこに込められているのは、「それほど強い覚悟や意地があるぞ」「やると決めたらとことんやるぞ」という、博多っ子の気合いや心意気なんですね。
また、「横道もん」とか「横着者」という言葉も出てきましたが、これは単なる怠け者という意味ではないんだそうです。
解説によると、「図々しくて生意気とか、強情って感じの意味」なんだとか。
つまり、「博多んもんは横道もん、青竹割ってへこにかく」というフレーズ全体で、「博多の人間は、世間知らずで生意気だとか言われるけど、やると決めたことに対する意地や覚悟は半端じゃないんだぞ!」という、自分たちの土地に対する誇りや、強い意志を表現しているんですね。
「俺たちは青竹をへし割って、ふんどしに締めてみせるぐらいの心意気ば持っとるっつぇ~」と、過去のパッケージにあった説明文そのままに聞くと、もう痺れますよね。
博多の人たちの情熱や、一度決めたらテコでも動かない頑固さ、そしてそれをやり抜く大胆な心意気が、このたった一つのフレーズに凝縮されているんです。
それにしても、青竹を割ってふんどしにするって、一体どうやるんだろう?
そして、なぜ痛そうな竹をあえて使うんだろう?
その具体的な行動については、口コミにも「何のために割った竹をふんどしに締めるのかはよくわかりません」と正直に書かれていて、ちょっと笑ってしまいました。
まあ、ことわざですから、比喩的な表現なのかもしれませんね。
とにかく、尋常ではないことをやってのけるほどの「意気」の表れであることは間違いなさそうです。
さて、この「青竹割ってへこにかく」というフレーズ、今回の朝ドラで初めて聞いた、という方も多かったのではないでしょうか。
でも、SNSではこの言葉を聞いて、「懐かしい!」「これを知っている人は福岡県民!」といった声や、「ラーメンのCMでお馴染み!」という声が多数上がっていました。
そうなんです!
この言葉、実はあるインスタントラーメンのCMで、かつて強烈なインパクトを残していたんです。
それは、1983年に日清食品から発売されたインスタントラーメン。
その名も、「はかたんもんなおうどうもん あおたけわってへこにかくばってんらーめん」!
長い!
とにかく名前が長いんです。
でも、この名前こそが、先ほどの博多のことわざをそのまま冠したものでした。
当時のCMには、福岡県出身のロックギタリスト、シーナ&ザ・ロケッツの鮎川誠さんが出演されていました。
鮎川誠さんといえば、もうめちゃくちゃカッコいいんですよね。
黒のレスポールギターをかき鳴らしながら登場し、「こげん長か名前のラーメン、知っとう? せからしか名前やね。ばってん、『はかたんもん らーめん』ち、呼んじゃんしゃい」と、視聴者である私たちに語り掛けるんです。
「せからしか」は博多弁で「うるさい」「面倒くさい」という意味ですね。
長い名前だけど、「はかたんもんラーメン」と気軽に呼んでくれ、ということだったわけです。
商品パッケージにも、「はかたんもん」「らーめん」の部分が赤の力強い文字で描かれていたそうです。
このCMが、もう本当に鮮烈だったんです。
ギターをかき鳴らす鮎川さんの姿、そして強烈なインパクトの博多弁フレーズ。
私のような非九州人にとっては、初めて聞く言葉で「?」となったものの、その心意気だけはなぜか伝わってくる。
「えらい男気のあるラーメンが出たぞ!」くらいの感覚だったかもしれません。
このラーメンは、九州地区限定で発売されていたそうです。
当時のインスタントラーメンといえば、「うまかっちゃん」がご当地豚骨味のパイオニアとして既に人気を集めていましたが、「はかたんもんラーメン」もまた、その強烈なネーミングとCMで、多くの人の記憶に深く刻まれたんですね。
SNSのコメントにも、「若くない福岡民には鮎川さんのラーメンのCMでお馴染みのフレーズ」「そんなラーメンが昔あった」といった声がたくさんありました。
まさに、あのCMのおかげで、「青竹割ってへこにかく」というフレーズは、ラーメンと共に記憶されている博多や九州、いや全国のロック好きやCM好きの人たちの間で、ある種の伝説のようなものになっているのかもしれません。
朝ドラでこの言葉を聞いて、すぐにピンときて「ラーメン!」と思った方は、きっと当時のCMが強烈な記憶として残っている方々なのでしょう。
私も、今回の放送をきっかけに、改めてこのフレーズとラーメンCMの繋がりを知って、なんだか胸が熱くなりました。
単なる言葉ではなく、その背景には、博多の人々の誇り、強い心意気、そして伝説のロックミュージシャンと強烈なCMがあったんですね。
ドラマをきっかけに、知らなかった地域の言葉や文化、そして時代の空気感に触れることができるのは、朝ドラの大きな魅力の一つだと、改めて感じています。
健太郎くんがこの言葉を使ったことで、多くの人が昔の記憶を呼び覚まされたり、新しい知識を得たりすることができたんですね。
本当に、面白い仕掛けだなと思います。
ただ、口コミによると、この「青竹割ってへこにかく」という言葉、今ではこういう言葉を使う博多人も少なくなった、とのことでした。
言葉は時代と共に変化していきますから、仕方のないことかもしれませんが、少し寂しい気もしますね。
でも、朝ドラという多くの人が見る場で、再びこの力強いフレーズが脚光を浴びたのは、なんだか嬉しいことだなと感じています。
朝ドラアンパン第33話に寄せられた様々な感想
さて、「青竹割ってへこにかく」という言葉が飛び出し、SNSがちょっとした「ラーメン祭り」で盛り上がったのも束の間、第33回の放送は、物語の核心に触れる、非常に考えさせられる展開となりました。
多くの方が、この話題のフレーズを受けて、朝ドラ受けの「あさイチ」で博多華丸・大吉さんが解説してくれるのでは、と期待していたようです。
私も、華丸さんがどんな風に解説してくれるのかな、と楽しみにしていたのですが…。
残念ながら、この日の「あんぱん」のラストシーンがあまりにも重かったため、「あさイチ」では「へこにかく」の話題には触れられず、ハンドバッグの話題になった、とのことでした。
それだけ、あのラストシーンが、視聴者の心に深く響いたということでしょう。
では、あのラストシーン、具体的にはどんな内容だったのでしょうか。
帰省していた嵩くんは、美術学校の受験を頑張れたこと、コンクールで佳作になれたことが、のぶちゃん(今田美桜さん)が背中を押してくれたおかげだと、感謝の気持ちを伝えます。
そして、東京のお土産として、銀座で買ってきたという赤いハンドバッグをのぶちゃんに手渡しました。
箱を開けたのぶちゃんは、その美しい赤いバッグを見て、一瞬「たまるかー。こんな美しいもん…」と息をのみます。
「美しい」と素直に感じた心。
そこに嘘はなかったはずです。
でも、のぶちゃんは、そのバッグを受け取ろうとしませんでした。
「こんな贅沢なもん、もらうわけにはいかん」。
そして、戦地の兵隊さんのことを考えるべきだと言い、こんな贅沢品に使うお金があったら、戦地の兵隊さんのために献金すべきだと主張しました。
こののぶちゃんの言葉に、嵩くんは「思わない」ときっぱりと答えます。
「美しいものを美しいと思ってもいけないなんて、そんなのおかしいよ」。
さらに、「のぶちゃんが先生になったら子どもたちにもそんなふうに教えるの? そんな先生僕は嫌だな。僕が知っているのぶちゃんは正直すぎるくらい正直で面白い女の子だった」と、昔ののぶちゃんを引き合いに出して訴えかけました。
これに対して、のぶちゃんは「うちも変わったかもしれん。けんど嵩も変わった。もうあのころみたいにはなれんって分かったやろ」と言って、バッグを受け取らずにその場を立ち去ってしまったのです。
「いらんと言うたらいらん。しゃんしゃん東京にいね!」。
このすれ違いのシーンには、多くの視聴者から様々な感想が寄せられました。
SNSでは、「すれ違ってゆく2人の思いが切ない」「せっかく仲直りしたのに……見てる世界が違いすぎて……泣」「誰も悪くない。ただ時代が悪いのよ」「受け取るだけでも受け取ってあげてよ」「嵩が気の毒すぎてしんどい」といった声が飛び交いました。
本当に、どちらの気持ちも理解できるだけに、見ていて胸が締め付けられるような思いでした。
「価値観の相違が悲しい」「時代が時代だけに哀しい」「戦争は人の心を壊す」。
これらの声は、まさにこのシーンが描こうとしていたことだと思います。
戦争という、どうしようもない時代の空気。
それが、かつては同じように美しいものを見て感動し、夢を語り合っていた二人の心を、少しずつ、そして決定的に引き裂いていく。
この展開に、「時代の空気に飲み込まれるのぶと違和感を覚える嵩。どっちも悪くないんだよなー。だから辛い」というコメントもありました。
そう、どちらも悪くないんです。
のぶちゃんは、女子師範学校で教育を受け、時代の空気や身近な人の影響(豪ちゃんの出征など)を受けて、「お国のために」という思いを強くしています。
戦地の兵隊さんの苦しみを思えば、贅沢など許されない、という考えは、あの時代を生きる多くの人々にとって、「普通」の感覚だったのかもしれません。
特に、のぶちゃんは新聞にも載るなど、周囲から注目される立場でもありましたから、より時代の空気に敏感にならざるを得なかった、という見方もあります。
一方の嵩くんは、東京という比較的自由な環境で美術を学び、美しいものを美しいと感じる感性を大切にしています。
彼は、戦争がいずれ終わった後の未来を見据えて、「いつか銀座の街を一緒に歩きたい」という願いを込めて、あのバッグを贈りました。
嵩くんの「美しいものを美しいと思ってもいけないなんて、そんなのおかしいよ」という言葉は、多くの視聴者の心に響いたようです。
「嵩の感覚は正常」「嵩の言うとおり」「嵩よく言った」「嵩のブレなさが出てる、時代の空気に潰されない柔らかい強さがあるなあ」といった、嵩くんへの共感や賞賛の声も多く見られました。
彼こそが、この作品のモデルであるやなせたかしさんの、「逆転しない正義」、つまり「いつでも、誰にとっても、美しいものは美しい、おかしいものはおかしい」と素直に感じ、それを表現する姿勢を体現しているのかもしれません。
一方で、のぶちゃんの言動に対しては、「のぶちゃん状況分かるけど、そりゃないぜ」「のぶ言い過ぎ」「のぶひどい」「のぶのどアホ」「のぶは洗脳されているのか」といった厳しい意見も少なくありませんでした。
女子師範学校での教育や、身近な人の影響によって、のぶちゃんの考え方が大きく変わってしまったことに対する、視聴者の戸惑いや悲しみが表れているように感じます。
「戦前・戦中は、特高とか配属将校とか大日本婦人会なんかが主人公達の敵だったんだが、今回はそっち側に行っちゃったね」という、これまでの朝ドラとの比較で、のぶちゃんの立ち位置に驚いているコメントもありました。
また、あの赤いハンドバッグという選択肢についても、様々な意見がありました。
「あのド派手な真っ赤なバッグが美しい…?」「贅沢とかの前に『いやいやこんなバッグに合わせる服ないから!』ってなりそう」といった、バッグ自体がのぶちゃんに似合うのか、あるいは時代背景に合わないのでは、という指摘。
「嵩は赤いハンドバッグをいつか使ってね、だけで良かったのに、銀座を歩いてね、だったからのぶを意固地にさせてしまった」という、嵩くんの言葉選びがまずかったのでは、という分析もありました。
ただ、嵩くんは、あのバッグが簡単に受け取ってもらえるとは思っていなかった、それでも美は美であるから、素直なのぶちゃんの心には届くのではないか、と思ったのでは、という推測もありました。
そして、「嵩さんは、『誰よりも美しいあなたと、美しいものに心を動かされるこの感動を分かち合いたい。そう思えるのは、世界であなただけです。愛しています』と言いたかったのではないか」と、嵩くんの秘めた思いを読み解こうとするコメントもあり、切なくなりました。
二人の育ってきた環境(高知と東京)の違い、そして師事している先生(黒井先生と座間先生)の考え方が全く違うことも、すれ違いの大きな要因として指摘されています。
「どんなに話し合っても理解し合えない。戦中はのぶの様な愛国教育が全国で教えられていたから、今は嵩の方が異端でしょう」という、時代の常識と嵩くんの異質さを指摘する声。
「あの時代にあの感覚を持ち合わせていた嵩のほうが特殊で、のぶが普通の感覚なんだろうと思う」という意見も、非常に多かったですね。
この、どちらの言い分も理解できるのに、分かり合えないというもどかしさ。
「時代背景が生み出した衝突であり、東京と地方の環境の違いでもあり、これから芸術の道で生きていく嵩ならではの価値観でもあった」という、多角的な分析もありました。
また、直接的な言葉のやり取り以外にも、演出から二人のすれ違いを読み取った方もいらっしゃいました。
「のぶと嵩の2人が乗るといつもギコギコ揺れるシーソーが今日は揺れなかった。シーソーは互いに意思が通じて支え合っていく様子のメタファーみたいなもので、2人は今すれ違っているから揺れなかったんだと解釈した」というコメントには、「なるほど!」と膝を打ちました。
このような細かい演出に気付く視聴者の方がいるのも、朝ドラの面白さですよね。
そして、このすれ違いを目の当たりにして、千尋くんの複雑な心境に言及する声も多く聞かれました。
千尋くんはずっとのぶちゃんのことが好きで、兄である嵩くんとのぶちゃんの仲直りを応援しながらも、内心は辛かったはずだと。
自分の思いを言えない千尋くんの姿に、「切なすぎる」「メイコにバレるぐらい分かりやすい千尋くん」「千尋→のぶは正視に耐えないわ」といった声も。
また、健太郎くんへの恋心を隠しきれないメイコちゃん、そのメイコちゃんの気持ちに気付いている蘭子さん、そしてメイコちゃんが千尋くんののぶちゃんへの恋心に気付くという、登場人物たちの複雑な人間関係にも多くの人が注目していました。
特に、千尋くんの気持ちにいち早く気付いたメイコちゃんを「優しくて聡いお嬢さん」と評する声も。
とにかく、第33回は、話題のフレーズから始まり、登場人物たちのそれぞれの思いが入り乱れ、そして戦争という時代の波が、彼らの関係性に影を落とす様子が鮮烈に描かれました。
「ハッピーエンドまでの道のりが険しく、視聴者をヤキモキさせる」『あんぱん』の今後の展開が、ますます気になりますね。
のぶちゃんと嵩くんは、この後どうなってしまうのでしょうか。
戦争が終わったとき、彼らはどんな道を歩んでいるのでしょうか。
「戦後は銀座を二人で歩くのでしょうか」という切ない願いのようなコメントもありました。
歴史を知っている私たちだからこそ、この時代の厳しさが痛いほど分かります。
「これから出征でかり出されるのだから、いられる時にはいればいいのになー、なんてぼんやり思った」という、当時の若者たちの運命を思う声も。
第33回は、ただのドラマの一場面としてだけでなく、戦争という時代が人々の価値観や関係性をどのように変えていくのかを、深く考えさせられる回でした。
そして、そんな時代においても、「美しいものを美しいと思いたい」という嵩くんのような純粋な心があること、それもまた一つの真実であることを示してくれたように感じます。
「誰よりも美しいあなたと、美しいものに心を動かされるこの感動を分かち合いたい。そう思えるのは、世界であなただけです」。
もし、嵩くんがそんな風に素直に伝えられていたら、二人の未来は変わったのでしょうか。
歴史に「if」はありませんが、そう考えてしまうほど、あの時の二人のすれ違いは切なく、悲しいものでした。
これからも、「あんぱん」が描く、時代に翻弄されながらも懸命に生きる人々の姿を、しっかりと見届けていきたいと思います。
そして、あの「青竹割ってへこにかく」という言葉に込められた「心意気」のように、困難な時代を生き抜く登場人物たちを、心から応援していきたいですね。