公務員の差額支給について。
公務員の給与改定に伴う差額支給について計算方法、支給時期、支給額の算出例、民間企業との給与比較などをまとめています。
公務員の差額支給とは?
公務員の給与改定に伴う差額支給とは、官民の給与格差を是正するために行われる給与改定により発生する差額を、過去に遡って支給する制度です。
なぜ差額支給が発生するのか?
公務員の給料は、民間企業の給与水準を参考に決定されます。そのため、民間企業の給与水準が上昇した場合、公務員の給与も引き上げられます。この給与改定は、官民の給与差に関する比較が4月時点で行われているため、その年の4月に遡って適用されます。 しかし、実際に給与が改定されるのは翌年の1月からです。 そのため、改定があった年の4月から12月までの差額分が、まとめて支給されることになります。
公務員の差額支給2024|支給時期は?
差額支給の時期と対象
差額支給は、国・自治体全てにおいて12月末に支給されます。 支払日は自治体によって多少異なりますが、多くの場合、各自治体の最終営業日付近になることが多いようです。
差額支給は毎年あるとは限らない
差額支給は、公務員の給料が民間企業よりも低い水準の場合に行われます。 公務員の給料が民間企業と同じ水準であれば差額支給はなく、民間企業よりも高い水準であれば、逆に給与から回収される可能性もあります。 例えば、コロナ禍で民間企業が苦しい時期には、差額支給は行われませんでした。
公務員の差額支給2024|計算方法は?
差額支給の計算方法
差額支給の対象となるのは、給与改定により変更された基本給と、それに連動して変動する地域手当と時間外勤務手当です。 ただし、地域手当の率の改定分は対象外となります。 また、通勤手当や扶養手当など、基本給の変動に直接関係しない手当も対象外です。 ボーナス(期末手当・勤勉手当)は、改定時に支給月数を調整することで対応するため、差額支給の対象にはなりません。
公務員の差額支給2024|支給額はいくら?算出例は?
公務員の差額支給の算出例として、令和6年度に相模原市役所に入庁した新卒職員(大卒)を想定したケースを紹介します。
引用[PDF]:https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/res/projects/default_project/_page/001/005/235/r06_honbun.pdf
引用:https://rurukucho-no-hanko.com/wbm/kyuyo-sagaku/
前提条件
- 地域手当:12%
- 基本給(1級29号給):196,100円
- 改定後の給料月額(1級29号給):219,900円(+23,800円)
- 月あたりの勤務日数:22日
- 1日の勤務時間:7時間45分
- 残業時間:月10時間(時間外勤務の時給補正率は25%)
- 計算期間:令和6年4月~12月(9ヶ月分)
計算方法
- 基本給の差額:23,800円 × 9ヶ月 = 214,200円
- 地域手当の差額:23,800円 × 0.12 × 9ヶ月 = 25,704円
- 時間外勤務手当の差額:{23,800円 × 1.12(地域手当込み)} ÷ 22日 ÷ 7.75時間 × 1.25(時間外勤務率) × 10時間 × 9ヶ月 ≒ 14,070円
- 差額支給額合計:214,200円 + 25,704円 + 14,070円 = 253,974円
上記計算例では、約25万円の差額支給となります。では、ここから税金が引かれるため、手取り額は約20万円になると推測しています。
注意点
- この計算例はあくまでも一例であり、実際の差額支給額は、個人の勤務状況や自治体によって異なります。
*にあるように、公務員の給与が民間企業よりも高い水準の場合は、差額支給は行われず、逆に給与から回収される可能性もあります。
差額支給額は若手ほど多い傾向
公務員の差額支給は、若年層により多く支給される仕組みになっています。 これは、若手公務員の離職を防ぎ、優秀な人材を確保するためと考えられます。
公務員の差額支給に対するネットの意見
公務員の差額支給に対して、ネット上では様々な意見が出ています。
肯定的な意見
- 公務員は、国民のために日々頑張って働いているので、差額支給は当然の報酬である。
- 特に、コロナ禍で大変な思いをした公務員には、差額支給は妥当である。
- 公務員になるためには、大変な努力が必要なので、民間企業と同等以上の給与が支払われるべきである。
- 差額支給があることで、公務員を目指す若者が増え、優秀な人材が確保できる。
否定的な意見
- 公務員の給与は、税金から支払われているため、民間企業の業績が悪化している中で、差額支給を行うのは不公平である。
- 公務員の仕事は、民間企業に比べて楽であるにもかかわらず、高額なボーナスや差額支給が支払われるのは納得できない。
- 公務員の仕事ぶりは、必ずしも評価が高いとは言えないため、差額支給の根拠が不明確である。
- 公務員は、民間企業に比べて、倒産やリストラのリスクが低いため、高額なボーナスや差額支給は不要である。
中立的な意見
- 公務員の給与水準は、民間企業の給与水準を参考に決定されるべきである。
- 差額支給は、官民の給与格差を是正するために必要な制度であるが、支給額や支給対象については、更なる検討が必要である。
その他
- 公務員のボーナス支給額に関する報道は、毎年の恒例行事となっており、公務員叩きの一環として行われているという意見もある。
- 一部のネットユーザーからは、公務員のボーナス支給額を話題にするよりも、政治家の不祥事や税金の無駄遣いなど、もっと重要な問題に取り組むべきだという意見も出ている。
まとめ:公務員の差額支給2024|支給額はいくら?算出例は?計算方法・支給時期は?
公務員の給与改定に伴う差額支給は、官民の給与格差を是正するための重要な制度です。
公務員の差額支給は、基本給、地域手当、時間外勤務手当の差額を合計して算出されます。
差額支給の仕組みや計算方法を理解しておくことで、自身の給与変動をより正確に把握することができます。
新卒公務員の場合、基本給の差額、地域手当の差額、時間外勤務手当の差額を合計することで、差額支給額を計算できます。 R6年度に相模原市役所に入庁した新卒職員の場合、約25万円の差額支給があったという試算例があります。 この金額から税金が引かれますが、手取りで20万円以上は受け取れると考えられます。 30代前半までの若手公務員であれば、同様の金額の差額支給が見込まれます。