「カズと学ぶ(カズレーザーと学ぶ。)」で取り上げられた、職場における「ホワハラ(ホワイトハラスメント)」について
弁護士の小野章子氏が、過剰な優しさや配慮が部下の成長を阻害する可能性があることを指摘し、出演者からは賛否両論の声が上がりました。具体的には、上司が部下の能力を過小評価し、簡単な仕事しか任せようとしないことで、部下の成長機会を奪ってしまうケースなどが紹介されました。
ホワハラ(カズと学ぶ)とは?語源は何の略?定義は?ホワイトハラスメントの由来は?
■ホワイトハラスメント(ホワハラ)について
「ホワハラ」とは、従業員や部下に対して過剰な優しさや配慮を示すことによって、逆に精神的な負担やプレッシャーを与えてしまう行為を指します。 近年、ハラスメントに対する意識が高まる中で、新たに注目されている問題です。
ホワハラの定義
ホワハラは、ブラック企業やブラック上司を避ける意識から、過剰に優しく接することで、部下の成長機会を奪ってしまう行為として定義されます。
具体的には、上司が部下に「残業はしなくていいよ」「手伝うから心配しなくていいよ」と言う場合のように、一見すると部下を思いやる行為が、実際には部下にとって精神的な負担となるケースが挙げられます。
ホワハラの背景
ホワハラの背景には、2020年に施行されたパワハラ防止法の影響が指摘されています。 パワハラに対する意識が高まったことで、上司が部下への指導を過度に控えるようになり、その結果としてホワハラが生まれるようになったという見方です。
ホワハラ(カズと学ぶ)の具体例
職場におけるホワハラの具体例
- 「残業はしなくていいよ」と言いながら、実際には残業を期待している。
- 「私がやっておくから」と言って、部下の成長機会を奪う。
- 「どの選択肢でもいいよ」と言いながら、特定の選択を期待している。
- 簡単なポジションしか与えない。
- 明らかにできる仕事を任せてもらえない。
これらの行為は、一見すると部下を気遣っているように見えますが、部下にプレッシャーを与えたり、成長機会を奪ったりする可能性があります。
教育現場におけるホワハラの例
- 「宿題を忘れてしまったの? 大丈夫!今から一緒にやろう? 先生もヒントを出すから」
- 夜遅くまで自習している生徒に「今日はそれくらいにして帰りな、明日も早いでしょ」と帰らせる。
教育現場、特に「褒めて伸ばす」スタイルの個別指導塾では、ホワハラが発生しやすい可能性があります。
ホワハラ(カズと学ぶ)がハラスメントとみなされる理由
ホワハラは、一見すると親切な行為に見えますが、パワハラの一種である「過小な要求」に該当する可能性があります。 「過小な要求」とは、業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、あるいは仕事自体を与えないといった嫌がらせ行為を指します。 ホワハラも、部下の能力や経験を考慮せずに、過度に簡単な仕事や責任の軽い仕事ばかりを与え続けることで、部下の成長を阻害する可能性があるという点で、「過小な要求」と類似しています。
ホワハラ(カズと学ぶ)への対応
ホワハラを受けた側の対応
ホワハラに遭ったと感じたら、まずはその行為がホワハラであることを自覚し、なぜ不快感を感じるのかを具体的に相手に伝えましょう。 曖昧な表現ではなく、自分の気持ちを明確に伝えることが大切です。
ホワハラをしてしまう側の対応
上司は、部下の意見を尊重し、適切な指導やフィードバックを与えるように心がけることが重要です。 部下の個性に合わせたコミュニケーションを取り、得意分野を活かせるようにすることで、部下の成長を促すことができます。 また、部下から「残業してでもこの仕事を終わらせたい」といった希望があれば、会社のルールに反しない範囲で、それを受け入れることも必要です。
ホワハラを防ぐために
ホワハラは、上司と部下、あるいは先生と生徒など、双方向のコミュニケーションによって防ぐことができます。 お互いにしっかりと意思を表明し、相手の意見や考えを理解することが重要です。
- 上司は、部下の希望や意見を丁寧に聞き取り、一方的な判断で業務を押し付けたり、成長機会を奪ったりしないように注意する。
- 部下は、自分の希望や意見を明確に伝え、上司の過剰な気遣いをやんわりと断る勇気を持つ。
- お互いに、相手を尊重し、信頼関係を築く努力をする。
ホワハラは、近年になって注目されるようになったハラスメントであり、まだ明確な定義や判断基準が確立されているわけではありません。 しかし、職場や教育現場において、ホワハラが問題となるケースが増えてきていることは事実です。
今後、ホワハラに関する議論が深まり、より明確な定義や判断基準が示されることが期待されます。 私たちも、ホワハラについて正しく理解し、ハラスメントのない、より良い環境を作っていくために、積極的にコミュニケーションをとっていくことが大切です。
ホワハラ|ハラスメントとは?
ハラスメントとは、一般的に相手に対する発言や行動によって、不快な気持ちにさせたり、脅威に感じさせたりすることを指します。人権侵害を意味し、性別、年齢、職業、宗教、社会的出自、人種、民族、国籍、身体的特徴、セクシュアリティなどの属性、あるいは広く人格に関する言動によって、相手に不快感や不利益を与え、その尊厳を傷つけることを言います。近年、職場における「ハラスメント」が増加し、人事管理上の深刻な問題となっています。
ハラスメントの種類
ハラスメントには、様々な種類があります。
- 法令で定義されたハラスメント: これらは法律で明確に定義されており、企業は防止措置を講じる法的義務があります。
- パワーハラスメント(パワハラ): 職場における優越的な関係を背景とした言動によって、労働者の就業環境が害されるもの。
- セクシャルハラスメント(セクハラ): 職場における性的な言動によって、労働者が不利益を受けたり、就業環境が害されるもの。
- マタニティハラスメント(マタハラ): 妊娠・出産・育児に関する言動によって、女性労働者の就業環境が害されるもの。
- パタニティハラスメント(パタハラ): 育児に関する言動によって、男性労働者の就業環境が害されるもの。
- ケアハラスメント(ケアハラ): 介護休業の利用に関する言動によって、労働者の就業環境が害されるもの。
- 社会通念上のハラスメント: 法律で明確に定義されていないものの、社会通念上ハラスメントと認識されているもの。
- ホワイトハラスメント(ホワハラ): 従業員や部下に対して過剰な優しさや配慮を示すことによって、逆に精神的な負担やプレッシャーを与えてしまう行為。
- カスタマーハラスメント(カスハラ): 顧客が従業員に対して過剰なクレームや無理な要求をすること。
- モラルハラスメント(モラハラ): 言葉や態度、文書などによって陰湿に繰り返される精神的な暴力や嫌がらせ。
- その他: アルコールハラスメント(アルハラ)、リストラハラスメント(リスハラ)、テクノロジーハラスメント(テクハラ) など。
ハラスメントのレベル
ハラスメントは、その悪質性などに応じて、以下のレベル(段階)に分けることができます。上位レベルのハラスメントに該当する行為は、下位レベルのハラスメントにも該当します。
- 刑法上の犯罪: 刑法上の犯罪に該当する行為をした者は、逮捕・起訴されたり、刑事罰を受けたりする可能性があります。例: 暴行罪、傷害罪、名誉毀損罪、侮辱罪、強制わいせつ罪など。
- 民法上の不法行為(権利侵害): ハラスメントによって被害者の権利を侵害し、損害を与えた場合には不法行為に該当します。被害者は加害者に対して損害賠償請求を行うことができます。例: 被害者を侮辱して、精神的なダメージを与える行為。
- 労働法上のハラスメント該当行為: パワハラ、セクハラ、マタハラ/パタハラ、ケアハラについては、労働法による規制がなされています。企業は、労働関係法規が定義するような4つのハラスメントが発生しないように、適切な措置を講じなければなりません。
- 企業秩序違反行為: 社内規程によって、法令を上回る厳格なハラスメント防止基準などを定めた場合には、企業はその基準に従ってハラスメントに該当するかどうかを判断すべきです。
ハラスメント問題の背景
近年のハラスメント増加の背景には、以下のような要因が考えられます。
- コミュニケーション不足: 相手の性格や価値観を理解しないまま、不用意な言動をしてしまう。
- 価値観の多様化: ハラスメントに対する認識や感じ方が人によって異なる。
- アンコンシャス・バイアス: 無意識の偏見や固定観念が、ハラスメントにつながる言動を引き起こす。
- パワハラ防止法の施行: 上司が部下への指導を過度に控えるようになり、ホワハラのような新たな問題が生じている。
- 社会全体のハラスメントに対する意識の高まり: これまで見過ごされてきた行為が、ハラスメントとして認識されるようになった。
企業におけるハラスメント対策
企業は、ハラスメントを防止するために、以下の措置を講じることが重要です。
- ハラスメント防止に関する方針の明確化と周知徹底
- 相談窓口の設置
- ハラスメント防止研修の実施
- 事実関係の迅速かつ正確な確認
- 被害者への適切な配慮とフォロー
- 行為者に対する適切な措置
- 再発防止策の実施
- プライバシー保護の徹底
ハラスメントは、当事者だけでなく、職場全体の雰囲気を悪化させ、企業の業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。 企業は、ハラスメントを深刻な問題として捉え、積極的に防止対策に取り組む必要があります。
ホワハラ|カズと学ぶ(カズレーザーと学ぶ。)放送内容
■「カズレーザーと学ぶ。」10月29日放送回の内容
2024年10月29日放送の「カズレーザーと学ぶ。」では、「大ハラスメント時代の生き抜き方第2弾」と題し、様々なハラスメントについて解説がされました。 前回の放送が好評だったため、令和におけるハラスメント問題を再び特集した形です。 番組には、講師として中央大学法学部長・遠藤研一郎氏と、文京湯島法律事務所代表弁護士・小野章子氏が出演し、ハラスメントの定義や、加害者にならないための境界線などが実際の裁判例を交えて紹介されました。
番組で取り上げられたハラスメント
- パワハラ
- セクハラ
- ホワイトハラスメント(ホワハラ)
- カスタマーハラスメント(カスハラ)
- モラルハラスメント(モラハラ)
■パワハラ・セクハラ・ホワハラ
職場におけるハラスメントとして、パワハラとセクハラに加え、「ホワイトハラスメント(ホワハラ)」 についても解説されました。 ホワハラとは、ホワイト企業で起こりやすいハラスメントで、会社側の社員への配慮や優しさが、逆にハラスメントになってしまうケースを指します。
番組では、パワハラやセクハラが業務指導の範囲内なのか判断が難しいケースが増えていることや、県の非常勤職員の女性が上司のパワハラを訴えた裁判の事例などが紹介されました。
■カスハラ
飲食店などで従業員が客から受ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」についても、番組内で取り上げられました。 特に近年カスハラが増加しており、2025年4月には東京都で日本初の「カスハラ防止条例」が施行される予定です。
番組内では、カスハラに関連した裁判例として、ピザの配達が遅れたことに腹を立てた男性が慰謝料を請求した事例が紹介されました。 このケースでは、裁判所が「返金対応で補えない精神的苦痛は起こり得ない」として男性の訴えを退けています。
一方で、店側に非があるとして、裁判で店側が慰謝料を支払う判決が下ったケースもあると紹介されました。
■モラハラ
近年増加している離婚理由の1つとして、「モラルハラスメント(モラハラ)」 も番組で紹介されました。 令和に入り、モラハラに対する認知が広がったことや、コロナ禍におけるストレスなどがモラハラ増加の背景として考えられています。
モラハラに関する街頭インタビューでは、夫から妻へのモラハラ事例が多く報告されました。
番組内では、弁護士の小野章子氏がモラハラに関する裁判事例を紹介し、モラハラ認定の基準などを解説しました。 また、夫婦関係が行き詰まった際の選択肢として、裁判所の円満調停制度を紹介しました。
番組の出演者
- MC:カズレーザー(メイプル超合金)
- 出演者:許豊凡(INI)、竹内由恵、土屋太鳳、錦鯉、村上(マヂカルラブリー)、ゆうちゃみ
- 専門家:遠藤研一郎、小野章子
- 進行:岩田絵里奈(日本テレビアナウンサー)
■番組を見た視聴者の声
番組放送後、視聴者からは様々な意見が寄せられています。
一部の視聴者からは「ホワハラ」は番組が作った造語なのではないか、という意見も出ています。
また、「自分が不快に思ったらハラスメント」「嫌だと思ったらハラスメント」といった価値観の教育に対して、疑問視する声や、集団社会における多少の不満は許容すべき、ハラスメントと好き嫌いの線引きを教育するべき、といった意見も見られました。
さらに、男性は女性と関わらないようにすればハラスメントを防げる、といった極端な意見もありました。
これらの意見は、現代社会におけるハラスメント問題の複雑さを反映していると言えるでしょう。
まとめ:ホワハラ(カズと学ぶ)語源は何の略?定義は?ホワイトハラスメントの由来は?
ハラスメントは、様々な種類があり、そのレベルも様々です。 近年、ハラスメントに対する意識が高まり、様々な対策が講じられていますが、依然として多くの企業で発生しています。
ハラスメントのない社会を実現するためには、企業だけでなく、私たち一人ひとりがハラスメントについて正しく理解し、相手を尊重した言動を心がけることが大切です。